カマドウマ日記

踊ってなんぼ

ウスターソース

ebayで、お気に入りブランドの古着を買うことがある。ebayは、よいぞ。

 

国際郵便だから、届くまで時間がかかることは仕方ない。修行のように使いづらいpaypal決済にも、目をつぶってやろう。日本に出荷してない商品を、なぜかフィルタリングで取り除けないことも、この際許してあげよう。

 

こんなebayでも使い続ける理由。それは、ただひたすら安いからである。安さにつられて買うと大抵いいことがないので、本当に欲しいと思ったものだけを買う。そうして危険を避けてきたつもりだったけども、予期できないことはいつだってあるのだ。

 

今回の品物は、ちと厄介であった。

遠路はるばるイギリスから、グレーのキルトパーカーのようなものを取り寄せた。

ウキウキで開封したのも束の間、中をみて驚愕する。

丁寧に畳まれた服が、グレーのビニールにくるまれている。雑なビニールテープで、封がしてある。ここまでは、まぁ良い。送り主は業者じゃないんだから、大体そういうもんだ。

問題はここから。グレーのビニールが、どういうわけか芝生まみれなのである。

 

……え???

 

初めての事態に、混乱を隠せない。大量にまとわりついた枯れ芝生。イギリスの芝生。

 

……なんでこうなった???

 

イギリスの郵便局で段ボールに梱包されるまでに、いったいぜんたいどんなドラマがあったのだろう。スライディングでもしたのだろうか。どうなってるのこれ。

厳かに開封の儀を執り行う予定だったのに、出鼻をくじかれてしまった。いけない。

 

気を取り直して、グレーのビニールの封を、ビリビリと破った。落札してから2週間目にして、ようやくパーカーとご対面。

 

思い返せば、古着を買った経験はあまりなく、相場がイマイチわからないのであった。しかし、今回は1200円程度だったので、間違いなく破格だ。

ブリ公曰く、「毛玉ができてるからお安くしとくよ!」

とのことだったが、確かに前情報通りだった。毛玉しゅごい。しかし、これならまぁ、許容範囲内だ。ポケットの中が毛玉まみれで不快だったので、毛玉取りで丁寧に取り除いていく。

 

ここでようやく、第2の問題に気が付いた。それは鼻を近づけたことで、判明した。……この服、めちゃくちゃクサイぞ。

 

なんて表現したらいいんだろうか……洗剤?
洗剤なのは間違いないが、明らかにキツ過ぎる。イギリスだからなのか。そうだとしても、このスパイシーな香りのする洗剤はただ事ではない。僕はこれを洗剤とは認めない。もしかして、イギリスではウスターソース風の洗剤でも流行ってるのか?

なんていうかこう、中学校のクラスにひとり、こういう匂いのする服を着てくる奴がいた気がする。独特な香り。嫌いではなかったが、明らかに他とは違うその香り。いつも不思議で仕方がなかった。

 

パーカーのポケットから出てきた髪の毛。黒くて硬い、長さは8cmぐらい。男で間違いないだろう。白くて短い、猫の毛らしきものもついていた。きっと猫を飼っていたんだろう。

 

黒髪中肉中背の、20代イギリス在住の男性。猫を飼ってる。趣味は芝生へのスライディング。どんなエキセントリックな方だろう、お会いしてみたくて仕方ない。服の趣味とサイズはきっと一緒なので、話は少なからず合うだろう。いつかこの服を着て、イギリスに行ってみたい。そいつに会ったら、洗剤の銘柄を聞き出してみたい。

 

とりあえず匂いがとれるまで11月の寒空のもと、吹きさらしの刑に処しています。パーカーちゃん、許してね。

答えはきっと好奇心。

考えてみると不思議である。

 

ヒトにはなぜ好奇心が備わっているのか。生存と繁栄だけが人生の目的であれば、長年の進化の過程で、ヒトの能力は安定的な食料調達と安全の確保のみに最適化されるのではないか。好奇心から出る、無謀なチャレンジなんてしないようになるのではないか。

「好奇心はヒトを殺す」という言葉があるように、好奇心ゆえに起こした行動で死んでいった人は、それこそ星の数ほどいるだろう。ダーウィン賞受賞者のなかにも、かなりの数がいるのではなかろうか。最も名誉のある、不名誉な賞。なぜおとなしく人生を全うできなかったのか。

 

そんなことを考えながら自転車を急がせ、僕は会社に向かった。勤め先は都心のスタートアップ企業だ。

 

そう、僕はとても矛盾していた。個人が最小限のエネルギーを投資していても、安定的に食い扶持を生み出し、身を挺して守ってくれる大企業。そんな巨人を眼光鋭く、足元から見上げる、小さく弱っちいスタートアップたち。最大限のエネルギーを投資しても生き残れるかどうかも分からない、究極の非合理ともいわれるスタートアップ。僕はなぜ、ここにいるのだろう。

 

答えはきっと好奇心。この世で生き残れるかどうかわからない、不確定要素の多い遺伝子を持ったサンプルに、僕はなりたい。そのためには非合理をも追求しよう。 

好奇心が足取りを軽くしてくれる。例えその先に道がなかろうとも、進んでいこう。その先で待っている人たちに、ゆっくりと会いにゆこう。すべては、好奇心を満たすために。

憧れははじまり

就活のときによく読んでいた、某氏のブログ。おそらく2008年頃に就活されていた人のブログで、当時から物凄い優秀だったんだろうなあと感じさせられる内容だった。

 

私はいつだって憧れから行動を起こすタイプの人間なのだ!私もあの人みたいな文章を書いてみたいぞ!

 

そう思ったはいいものの、2000年代前半のテキストサイトのような、ゲロクレイジーな文章も大好きなのだ。だからそのあいの子のようなテイストで、このブログを進めていきたいと思う。今の仕事のこと、身の周りのこと、なんでもここに書き散らしていきますよ。