カマドウマ日記

踊ってなんぼ

答えはきっと好奇心。

考えてみると不思議である。

 

ヒトにはなぜ好奇心が備わっているのか。生存と繁栄だけが人生の目的であれば、長年の進化の過程で、ヒトの能力は安定的な食料調達と安全の確保のみに最適化されるのではないか。好奇心から出る、無謀なチャレンジなんてしないようになるのではないか。

「好奇心はヒトを殺す」という言葉があるように、好奇心ゆえに起こした行動で死んでいった人は、それこそ星の数ほどいるだろう。ダーウィン賞受賞者のなかにも、かなりの数がいるのではなかろうか。最も名誉のある、不名誉な賞。なぜおとなしく人生を全うできなかったのか。

 

そんなことを考えながら自転車を急がせ、僕は会社に向かった。勤め先は都心のスタートアップ企業だ。

 

そう、僕はとても矛盾していた。個人が最小限のエネルギーを投資していても、安定的に食い扶持を生み出し、身を挺して守ってくれる大企業。そんな巨人を眼光鋭く、足元から見上げる、小さく弱っちいスタートアップたち。最大限のエネルギーを投資しても生き残れるかどうかも分からない、究極の非合理ともいわれるスタートアップ。僕はなぜ、ここにいるのだろう。

 

答えはきっと好奇心。この世で生き残れるかどうかわからない、不確定要素の多い遺伝子を持ったサンプルに、僕はなりたい。そのためには非合理をも追求しよう。 

好奇心が足取りを軽くしてくれる。例えその先に道がなかろうとも、進んでいこう。その先で待っている人たちに、ゆっくりと会いにゆこう。すべては、好奇心を満たすために。